7月、ちょっと全体的にバタついていて全然新譜を聴けなかった。ゆえの5枚。
あと新譜以外はよく聴いていたのをタイトルだけ挙げている。坂本慎太郎氏、フジで観られなかったのでせめてものアルバムを多めに聴いていた。
ライヴ記録もちょっと別でまとめる機会を作りたい(フェス行ったし、それ以外のライヴはそもそも2本ぐらいしか行っていないので)。
●新譜(2023〜)
When Horses Would Run – Being Dead
・テキサスを拠点とする3人編成のポップ・ユニット(デュオとする記述もあり。インスタを見るとメンバー2人で写っている写真もあれば3人で写っているものもあり、まあ1人はサポートとかそんなところだろう)。これがファースト・アルバムということになるみたい。
#1「The Great American Picnic」では変拍子を駆使したリズムにバロック時代の宗教曲のような旋法が乗っかり、かなりミクスチャーな音楽性であることがこの時点で予想できた。#2「Last Living Buffalo」では王道インディーポップ感のあるイントロとキャッチーなメロディラインで曲を進めつつ、2分ぐらい経ったところで突然の爆音ギター×絶叫パートが一瞬入り、ポスコア辺りも経由していることが伺える。それでいて#7「Treeland」などは全編をとおして聴きやすいポップロック。
ファーストかつインディーということもあり、アルバム全体の統一感というよりは自分たちのやりたいことをやれるだけ突っ込んでみたというところかもしれない。でも、その「節操なさ」がまったく不快でなく、このバンドらしさにも繋がっているのがおもしろい。
Girl with Fish – feeble little horse
・アメリカの新しいバンドで、このアルバムで初めて知った。ちなみに本作はセカンドアルバム。なおペンシルベニア出身なので、テキサス拠点のBeing Deadとは見てきた風景も結構違うだろう。
このバンドはこのバンドで癖が強く、1曲目(「Freak」)からブリッブリに歪んだ(というかもはや音が割れている)ギターが鳴り響き、そこにウィスパーな女声ヴォーカルが絡んでいくという流れ。ライヴとかでどうやってPA のバランス取ってるんだろう。
フォークやガレージあたりの音楽をルーツにしているようで、ギターの使い方などはどうもその辺りをリファレンスにしていそうだが、ヴォーカルの処理なんかは昨今のベッドルーム・ポップに近いような雰囲気もあって、現在のアメリカでのインディーオルタナの曲作りのメソッド(の一幕)が見えるようで興味深い。
また本作はどの曲もタイトルがシンプル(大半が一単語で、英検3級が取れていればまずわかる単語だ)で、一曲一曲が短いのも特徴的だった。11曲で26分。この辺りはサブスク時代にフルアルバムを作るにあたっての戦略的なこともあるのだろうか。それとも単に短い曲を作るのが合っているのだろうか。
Alchemy – Disclosure
・Disclosureは今まであまりしっかりと聴いていなくて、兄弟2人のユニットであるということすら最近知った。
どの曲もカッコいいなあ。ビートは一定なんだけどきっちり緩急があるのがいい。ジャンル的にはハウスってことでいいんですかね。速めのビート、長すぎない曲展開。#4「Go The Distance」のようにヴォーカルが前面にフィーチャーされた曲もいいし、#7「We Were In Love」のようにインストかつ、生楽器のような質感がちょっと入っているような曲も好き。
生楽器といえば、基本的には打ち込みやシンセサウンドを柱にしていつつ、数曲(おそらく)エレクトリックベースでベースを録っているであろう曲があるのは面白い。ライヴ写真を観てもエレキベースはしっかり持っていたりするし。
フジロックなどのフェスを見ていてもギターがないバンド、ユニットは結構見るけれど、ベースに関してはシンセのそれと弦のそれを両方用意しているパターンは多い気がする。どういう傾向なんでしょうね。低音がモノをいうジャンルだから、その切り札は多い方がいいってことなんだろうか。
Sun Arcs – Blue Lake
・山の中で目を閉じて聴きたい系の音楽。デンマークのマルチプレイヤーによるプロジェクトだそう。
ギターやストリングスを使ったシンプルに綺麗なナンバーもさることながら、民族楽器(ハープみたいな弦楽器だろうけど、楽器名がよくわからない)で音階をポロンポロン鳴らしている#2「Green-Yellow Field」、#7「Sun Arcs」あたりのザ・アンビエントな曲が印象的だった。
このアルバムもタイトルがシンプルな曲が多いな。
ありがとう – never young beach
・ネバヤンといえば、パッと頭に浮かぶのは「あまり行かない喫茶店で」や「明るい未来」のような5人体制時の楽曲だったりする。それらは自身の学生時代の思い出とセットで思い出され、もちろん大好きな曲なのだけれど、アルバムとしては今回の「ありがとう」が圧倒的に響いた。理由はうまく言語化できないけれど、バンドとして洗練され続けているということは間違いのないことだと思う。
#2「毎日幸せさ」ではネバヤンらしいまったりとしたポップなトラックに、明確に現代的なイシューを題材にした歌詞が乗っている。そのアンバランスさが新しい。
#5「風を吹かせて」、タイトルで「風をあつめて」を思い出さないわけにはいかない。はっぴいえんどをはじめとする先人へのリスペクトが惜しみなく表現されていつつも、楽曲の手触りはオールドな楽曲たちとはまた違ったそれである。
●新譜以外(〜2022)
Private Reasons – Bruno Pernadas
・ポルトガルが舞台の小説を2冊ぐらい読んでいた。
Masterpiece – Big Thief
・またライヴに来てほしい。
物語のように – 坂本慎太郎
・ストロークスと被ってさえいなければ。