6月。
もうすぐ鬱陶しい梅雨が訪れ、それが過ぎればそこはもう夏であってさながら今の時期は夏への扉と言ったところか。ちょっと言い過ぎか。
とはいえ、「これもう夏だろ……」みたいな日は既に2週間前ぐらいからちょいちょい顔を出しているのであって、僕はその度、「あーあ」という気持ちになる。
僕のなかで、夏は四季のなかで最下位である。嫌いとまでは言わないが、春夏秋冬に順位をつけるのだったら申し訳ないがいちばん下である。
理由は暑いからである。それだけである。
まあそれはいいとして、東京のかなり西の方に青梅という街がある。そこに『夏への扉』という喫茶店がある。去年の夏に行ってきたのだが、かなりよかった。
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色々あって2か月ほど先延ばしになっていた運転免許の更新のため、東陽町の試験場に行ったのが去年の8月の頭であった。
更新はまあ滞りなく終わり、ギラギラと夏の陽が照りつける街に放り出されたのはちょうど真昼ごろ。東陽町ですることも特にないので、東西線に乗ってとりあえず中野まで向かう。
中野に着いたら電車を降り、中野サンプラザの前にある停留所に行き、いちばん手前の乗り場でバスに乗って江古田まで帰るのがわかりやすい。のだが、そのときはそうせず、「外に出たんだし吉祥寺あたりで買い物でもして帰ろう」と思い中央線快速に乗り換えた。
で、中野から吉祥寺までのものの10分程度の間に眠りに落ちた。気がつけば「武蔵小金井」なる名前しか聞いたことがない駅に着いていた。
まあいいや、と思った。
このままずっと乗ってよう、と。
寝惚眼でドア上の電光掲示板を見ると「青梅行き」とある。じゃあいいや、今日は青梅まで行っちゃえ。どうせ免許更新が終わったらその日は暇だったので、諸々なんでもよかった。
んで、行ったのが『夏への扉』だった。真夏だというのにエアコンは付いておらず広々と開けられた窓からの風だけが頼りだったが、不思議と暑くなかった。たまたま鞄にはハインラインの『夏への扉』が入っていて、せっかくだから「夏への扉で夏への扉を読んでみよう」とページを開いたが、結局3ページも読まなかったように思う。本なんかは閉じてボンヤリしていたかった。
青梅鉄道公園にも行った。実は、こちらのほうはずっと小さな子どもの頃に一度来たことがあった。とはいえ、公園に鎮座する機関車たちは昔見たときよりもずいぶん小さく見えた(僕がデカくなっているのだから、まあ、当然っちゃ当然ではある)。
全然好きじゃない夏のはずなのに、この日は「今日が夏でよかったな」と2回ぐらい思った記憶がある。
この夏もそんな感じの日が、せめて1日ぐらいはあってほしい。