おうち時間は続く

オンラインミーティングの予定バッティングというのを既に2回ほどやっている(仕事ではなく個人的なものなのでご安心を)。

そういうときは当然どちらかに詫びを入れて断るわけだが、オンラインミーティングにおいて「先約があるので……」という断り方をするのもなんだか不思議な気分である。別に嘘をついているわけでもなければ、他に言いようもないんだけど。

自分はずっと家にいるのにもかかわらず、どちらかを断って、どちらかのオンラインミーティングが始まるのを待っている……という状態がなんとなくそわそわするんですネ。

外出自粛という状況下、いろんなところで「新しい気の遣い方」が生まれてるんだろうなあ。

 

他にこの状況で生まれるものとして長大な「おうち時間」がある。ぼくは相変わらず何か聴くか読むか観るか食べるかしている。

f:id:tetsuoji:20200418235015p:plain

珍しく自炊して作ったカレー。もうちょっと辛い方が美味しいかな

●聴いたもの

Pet Shop Boys - I don't wanna

www.youtube.com

1月に出た新譜(結構前か)。ジャケット写真はFacebookのチャット風の吹き出しに「I don't wanna」と記されたシンプルなもの。使い古されたモチーフにも思えるけど、ぼくは結構好き。“I don't wanna go out,I don't wanna go dancing…”というリフレインが、今のこの日々のなかで図らずも切実さをもって迫ってくる(ような気がする)。

 

Jamie xx - Idontknow

www.youtube.com

先ほどの「やだ(I don't wanna)」に続き「知らんがな(Idontknow)」。こういう音楽は今まであんまり聴いたことなかったんだけど、Jamie xxこないだ来日してましたね。知人友人も何人かライヴに行っていた。

ライヴで聴いて、感じてより良さがわかる音楽ってありますよね(もちろんこの音源も好きだけど)。これもきっとそんなような気がするのでいつかライヴに行きたい。

そういえばPet Shop Boysも高校生のときに行ったサマソニで観て知ったんだったなあ。

 

●読んだもの

東直子/穂村弘『しびれる短歌』 ちくまプリマー新書

honto.jp

大学時代の先輩のオススメで読んだ1冊。

歌人二人が語る、楽しいみんなの短歌入門」だそうだが、結構くわしい分析まで入ったしっかりした内容である(と思う。短歌は全然専門でないので一応予防線を張っておきます)。もともと穂村弘さんの文章が好きで、この本も楽しく読めた。

恋、食べ物、時間、お金……というようにテーマごとに対談をしているのだけど、特にお金の章なんか面白くて読み入ってしまった。

穂村 短歌の中に出しやすいお金と出しにくいお金があるよね。お金持ちは年収とか出せないでしょう。

 出しても面白くないでしょう。

穂村 でも、借金はみんな堂々と出すよね。

(中略)

 病気とか失恋が短歌になりやすいのと同じじゃない? 

 

東直子穂村弘:しびれる短歌. 筑摩書房,東京,148-149.

 

本といえば最近は書店さんも休業、短縮営業が相次いでいる。仕方ないことだけれど、当然テンションが上がるものじゃない。

オンライン書店電子書籍もいいけれど、やはり現実のお店でしかできない本の買い方・出会い方というのがあって(本に限りませんね)。それは哲学者・内田樹先生の言葉をお借りするならば「背表紙と目が合う」体験。

これはもともと買う気のなかったものに対しても起こる、というかむしろそういうものに対してこそ起こる体験で、自分の視野を広げていくきっかけになるからとても貴重だ。その感覚が久しく味わえてない。

 

どうしても気の滅入る見出しばかりが目に入ってくる日々。そこへさらに、どうしようもなく寂しい報せが飛び込んでくることも、ここ数週は多かった気がする。そのうえ遠くへ出かけていって気分転換、というわけにもそうそういかない。

そんなときだからこそ、今この場で触れられるカルチャーやエンターテインメントを大切にしないわけにはいかないような気がしている。

 

おうち時間は続く。

 

あ、観たもの↓

www.youtube.com

聴いたものに入れるべきか? まあいいや。くるりは先日出たばかりの新譜「thaw」も激アツだ。