春先

 


に、ある1日だけ気温がガクンと下がって冬みたいな肌寒さになる日があるじゃないですか。今日とかそうなんだけど

 


そういう日、決まって思い出すのが「入ろうと思っていた部活に入るのをやめた日」である。なんのこっちゃ。

 


多くの中学校で部活の「体験入部」ってあると思うんですが、12歳の僕は「弓道部」の体験入部に行った。何となく小6のときから興味があった。

ただ、その体験入部日が4月だというのにクソ寒かった。それだけだった。それだけの理由で当時の僕はなぜかものすごく落ち込んでしまい、そのテンションのまま(部活に何も罪はないんだけど)弓道部に入るのをやめてしまったのだった。なんだかその日の見当違いの寒さと体験入部が結びついてトラウマになってしまうような気がした。

で、代わりに剣道部に入った。まあこっちも全然楽しくなかったんだけど

 


ってな具合に、ある条件(ってのは天気とか動作とか)の下で、ピンポイントで思い出される比較的どうでもいい記憶ってありませんか。僕は結構ある。

 


文学研究とかでは「動作」と「記憶」の関係というのはよく取り扱われているらしくて、

 


有名なプルーストの『失われた時を求めて』などは動作に関わる特定の記憶の想起の描写が秀逸だっていうんで有名らしい(ちゃんと読んだことないけど)。

そして文学の仕事のひとつは、そういった記憶をきちんと書き留めておいて、他の人が読んだときに「追体験」できるようにしておくこと、らしい。小説とかエッセイを読んで、自分の記憶と重ね合わせることで救われる、って人がいるしね。なるほどな。

 


寒さとか気候は、動作とはちょっと違うけどどうなんでしょうね?

 


これからもそういう、謂わば「環境依存記憶」がどんどん増えていくんだろうけど、

どうせ思い出すなら入らなかった部活なんかじゃなくてもっと映える思い出が良いなあ。