さあ、今年聴いたアルバムもちょっとまとめてみますよ。
全部一気にやるとなんかヤバそうなので、上・中・下に分けてみることにした。長めの小説みたいでなんかよくない? どう? まあいいや。
例によって数字はてきとうです。
20.ぼちぼち銀河 - 柴田聡子
これは雑感という曲。雑感って文章を書く人が使う言葉な印象
Fav Track: #6 南国調絨毯, #10 24秒
・いきなり他のアーティスト名を出してしまって恐縮なのだが、「南国調絨毯」の出だしを一聴したときにふとジョン・レノンの影が頭をよぎった。よくよく曲を聴いたらそんなでもないのだが。恐らく気だるげな歌い出しがホワイトアルバム期のジョンを想起させたのだと思う。メガネ・シンガーという共通点もある。
柴田さんの作品は折に触れて聴いていて、もちろん最新のものが最高だと言いたいところだけど、どの時期にも違った良さがあってベストを選べと言われたら困っちゃう。普通に困っちゃう。
19.Black Radio III - Robert Glasper
Fav Track: #5 Over(feat. Yebba), #9 It Don't Matter(feat. Gregory Porter & Ledisi)
・多くのアーティストとのフィーチャリングで構成されているアルバムで、1枚で幅広いサウンドが味わえる一方で("Radio"とは言い得て妙)とっ散らかった印象にならないのはさすがやなあと思う。全体のディレクションが相当しっかりと筋が通ってるんだろうな。
18.ミメーシス - 日食なつこ
ストリングスのアレンジがまたいいんだ
Fav Track: #3 クロソイド曲線, #12 うつろぶね
・シンガーとしての表現力もさることながら、ピアニストとしての引き出しが非常に多い人だというのを改めて認識。ギターのブリッジミュートだとかパーカッション的なリズムのニュアンスだとかをピアノの音形(と解像度の高い打鍵)で以てつくるのが上手すぎる。
17.Queendom - Awich
Fav Track: #4 WheU@, #8 どれにしようかな
・フジロック観たかったんだよな……。これ聴いて普通にカッコよってなったから……。仕事だった……。祭りの後を嘆いても仕方ないんですけど、こういう楽曲はライヴで観るとまた全然印象違うと思うのよな。
16.Being Funny In a Foreign Language - THE 1975
Fav Track: #1 The 1975, #2 Happiness
・ど頭2曲を選んでしまったが、特に前半が好きなのはたしか。1は(本人が強い影響を受けたと公言している)LCD SoundsystemのAll My Friendsへのオマージュがわかりやすすぎるぐらいだし(そしてその曲のタイトルに満を持してThe 1975とつける度胸たるや)、2はNew Orderっぽい雰囲気もある。リスナーとしてのThe 1975が色々想像できて楽しいアルバムという印象だった。
15.Omnium Gatherum - King Gizzard & The Lizard Wizard
ヴォーカルの声質自体はわりとジョン・レノンだよね
Fav Track: #1 The Dripping Tap, #6 Sadie Sorceress
・1曲目から20分あるアルバム、ここ数年でもなかなかお見かけしなかった。三田祭のステージだったら半分この曲で終わっている。しかしなんならもっと長く続けてもらっていいぐらい、聴いていて飽きが来ない曲。この曲で力尽きることなく、むしろアルバムを通して幅広い音世界が展開していくのが良い。ワクワクする。
14.Dragon New Warm Mountain I Believe In You - Big Thief
ギターソロに一瞬入ってくるハーモニクスがたまりません
Fav Track: #7 Little Things, #17 Simulation Swarm
・アルバムを聴いてからというものライヴで観られるのをずっと楽しみにしていたバンド(Little Thingsは自分が観た回では演らなかったけど)。"From the 31th floor of the simulation swarm"というのはどういう意味なんだろう、特に31階のくだり。慣用句的な意味があるようにも思えるし、そうでもない気もするし。ともあれ本当いい曲なのは確か。
13.Let It Be Blue - !!!
Fav Track: #3 Storm Around The World (feat. Maria Uzor), #10 Crazy Talk
・自分がもしDJだったら、!!!の曲をセットに入れたいしこのアルバムの曲をかけたい。大名作に一文字足しちゃって、それがちゃんとカッコついてるあたりも好き。
12.Mr.Morale & The Big Steppers - Kendrick Lamar
N95、というと色々思い出すものがありますね
Fav Track: #2 N95, #7 Rich Spirit
・ひとつの作品の中で比較的色々なサウンドスケープを試す人だという印象があるんだけど、今作とくにその傾向が感じられて興味深かった。殊に「シリアスなシニカルさ」をサウンドで表現する点においては無二の才能を持ったコンポーザーだと個人的には思う。リリックは言わずもがな。
11.hymn - Khamai Leon
Fav Track: #2 the ray of youth, #7 朝霞の街
・その昔フルートをやっていたせいでフルートのサウンドには無条件に反応してしまう。前半の楽曲を聴いてると「そんなフルートの合わせ方があるんか……!!」という新鮮な驚きがある一方、「朝霞の街」みたいなただただかっけいラテンジャズを聴かせてくれたりもする。とにかくフルート再開したくなります。
10.Cruel Country - Wilco
ピアノのコードプレイというものもずっと好き
Fav Track: #9 Bird Without a Tail / Base of My Skull, #12 Many Words
・いろんな音楽を聴いてみて、でも結局最もしっかり「馴染む」のはアコースティックな質感をもったオルタナ・ロックだなあというのをしみじみ思う。Wilcoの音楽はそういったことを思い出させてくれる貴重な存在。Many Wordsは最近聴いた音楽の中では比較的珍しく、1回聴いただけで大好きになった(他はなんとなく数回聴いてから好きになるので)。
9.余白のメロディ - 寺尾紗穂
この曲自体はわりと昔からありましたね
Fav Track: #6 森の小径(Cover), #7 光のたましい
・『余白のメロディ』というアルバムタイトルに、まず惹かれる。余白が何か、というのは自由に解釈できると思うけれど、個人的には「記憶の余白」ということを思った。
「光のたましい」などはピアノのピッチが若干ズレていて(むろん意図的なものでしょう)、それが例えば公民館とか学生会館の地下とかに置いてある古いピアノのような「記憶の余白にぼんやり残っている何か」を思い起こさせてくれる。
8.Ants From Up There - Black Country, New Road
やっぱりライヴがいいバンド、ですね
Fav Track: #4 Bread Song, #8 The Place Where He Inserted the Blade
・音の分離とかはしっかりしているんだけど、ライヴ感が強いなと思っていたら本当にほぼライヴレコーディングのような形で録ったのだそう(ただこのアルバムの曲を今後ライヴで聴けるかというとあんまりわからないのが惜しい)。でもアイザック脱退後のフジロックもすっっごい良かったから今後の音源なんかも楽しみにしたい。
自分はベースを弾くのでどうしてもタイラーのプレイに注目しちゃうけど、シンプルなようでかなり色んなことをやってるんだよな。フジではボウイングしてたし。
7.SINGS - YUSUKE CHIBA - SNAKE ON THE BEACH -
Fav Track: #1 ムーンライト, #5 新宿
・他のバンドやシンガーがやったら100%ダサくなってしまう演出でもチバさんがやると200%カッコよくなる現象はなんなんでしょうかね。そして本作、生(き)のチバさんの声の良さがめっちゃ活きてる感じがする。生まれ変わったら彼の声を持ちたいとわりとマジで思ってるぐらい好きなんですよね。
6.Fear Of The Dawn - Jack White
Fav Track: #1 Taking Me Back, #4 Hi-De-Ho(feat. Q-Tip)
・ブルース、ガレージをルーツにした音楽にポストパンクっぽい要素を組み込んだり、ヒップホップを乗せたりするとこういう感じになるのか! という新鮮みが味わえた。何を今更かもしれんけど、改めてギターもメチャメチャカッコいい。
5.あかるいくらい - 浮
Fav Track: #6 魚, #9 愛が生まれる
・水いらずとの対バンイベントで名前を知り、予習しよーと思って出たばかりの新譜を聴いたらとても好きだった、というパターンでした。ライヴ当日もほんと良くてそのまま物販に飛んでいってCD買うてもた。「魚」のゆるっとしたコーラスとライヴ感のある終わらせ方がツボ。
4.Hellfire - black midi
Fav Track: #4 Welcome To Hell, #8 Dangerous Liaisons
・前作、そして本作を聴いて、black midiに関しては狂気と正気の絶妙なあわいを行き来しているバンドだなと勝手に思っていた。しかしこの前ライヴを観て、少なくとも演奏ということについては彼らどうしようもなく正気だな、と思い直した。正気じゃないとこのレベルの演奏はでけへん。
あと改めて気づいたけどバラード系の曲の歌メロがちょーーー良い。
3.SONGS -スカート
Fav Track: #8 Aを弾け, #10 背を撃つ風
・映画館などで澤部さんの歌声を耳にする機会も増えた1年だった気がする。野音でのカクバリズムイベントもとても良かったな。今作もテクニカルなコード進行や変拍子を駆使しつつもオタくさくなく、説教くさくなく。その感じがとても推せる。
2.Fossora - Bjork
Fav Track: #4 Sollowful Soil, #9 Fungal City(feat. serpentwithfeet)
・自分はHyper BalladでBjorkを知り、それからも基本的に有名曲を中心に聴いてきた「Bjorkビギナー」で、これまでのディスコグラフィの文脈的に本作がどういう立ち位置なのかとかは正直よくわかっていない。が、本作があって、今度日本に来てorchestralとcornucopiaという2形態でライヴをする意義はなんか分かった気になっている。
1.Weather Alive - Beth Orton
金夜の心の落ち着き。僕の想像してるのと違うかもだけど。
Fav Track: #2 Friday Night, #5 Forever Young
・何かの機会でたまたま本作に関するインタビューを読んで、演奏陣……すご……となったのを覚えている。きちんと聴いたのは実は初めてなのだけど、なんで今まで知らなかったんだろうと思うぐらい好みな音楽性だった。時世を受けてリモートで曲作りをした、という話も興味深い。